堕ちる










堕ちた 其の先

堕ちる 其の先は もう一つの

堕ちた 其の先には もう一つの 世界







其の世界は 美しかった。

彼の世界とは 何もかも違う。

彼女は微笑った。気持ちは同じだったらしい。



奈落の底、大地の裂け目、希望なんて捨てた気になっていたのに────其処には、在った。



  『 Utopia 』  在る筈のない楽園が、














「此処で、暮らさないか?」



                       “しあわせに”













彼女は柔らかく微笑んだ。私も其れに倣った。

その時、私達は信じていた。今がある事を。今のままで在り続ける事を。










               “存在し得ない楽園で”



あの時 誓った思いに 濁りは無かった。





アトで 苦しむ位に








『地上編』






「ふふふ・・・何でこんな事になったのか、なぁ〜 (^o^ ;)」




ボクは節を付けながらかなり文句(もはや愚問)を歌にしていた。
いや〜、ボクには即興の才能があったんだねぇ。将来の幅が広がった気がしたよ。
全く、剣術といい、魔術といい、処世術といい・・・ボクは才能に溢れているだな。
・・・・吟遊詩人か。考えておこう。


急に


上がりかけたテンションが熟し過ぎた果実と同じ運命を辿る。
自分を慰めるのは止めよう。ボクに癒し(ヒーリング)の才能は無いらしい。
吟遊詩人は駄目だ。バーテンとかもアウトだな。・・・・薬師とか・・・・ね。



胃の辺りが熱くなる。こめかみが疼いた。
鼻の奥から熱気が噴き上がって腔内が干上がっていく。


・・・そうそう、このカンジ。

    クツクツと沸き上がる怒気、
    その中で鮮やかに屈辱感が彩られて、
    芽生えた殺意には千年の恋でも潜んでいる様で、

ボクは歯を浮かし片頬を軽く上げて、陶然と笑う。
眼前にある景色を今直ぐにでも消し去ってやりたい気持ちを孕みつつ。

ボクの中の危うい均衡が遂に崩れた。



「、ふざけんじゃないぞォ!紙切れ人間どもがッ!!」



・・・・吼えた。
紛れもなく、ボクは腹の底から吼えてやった。

脳裏に憎むべき敵の顔と言葉のひとつひとつを思い浮かべつつ。


松明1つ分しかない光の中で独りきり
カビやら苔やら生臭い洞窟に押し込められて

嗚呼、なんて云えばいいのだろうか。こんな理不尽な事された自分自身に
労る言葉さえ思いつかない。・・・・ボクに話術の才能は無いらしい。



「・・・取り敢えず詐欺師だけは、やめとこうかな? (・o・)9」



何気なく思った事が口から出る。エクトプラズムも一緒に。









カコの話を しよう



そう 遠い遠い君の 祖先の話

天空を瞬かせ 暗天を貫き 舞い降りた

君の祖先の話を









其処は苔生した洞窟だった。



どんだけ狭いか、と云うとボクの頭(髪?)が苔色に染まってしまうくらい。
非ッ常に腰に負担がかかる態勢のままボクは歩みを進めなければならなかった。
いッくらボクが寸足らずだからってこの狭さには(精神的にも)耐えられない。


先ず、天井が低い。其のせいで洞窟に入る時、頭との距離を計り損ねたボクが





──────・・・・良い思いを、する筈ない。





次いで、湿気臭い&苔臭い。お陰でボクの(神経より)繊細で脆弱な肺は





──────・・・・何て事ない、訳無いだろう!!





付け加えて、洞内の暗さときたら。自費購入した松明が無かったら、なんて







──────・・・・あぁ、考えたくもないなァ!!!





「ふふふ・・・覚えていろよ。絶対、後悔させてやる。2D共めッ (>口<)/」(お前もだろ)


(スーパー)取り敢えず、

めくるめく残虐行為は頭の中だけにして・・・・今は。
最優先課題である『ロトが残した石碑』とやらをさっさと拝む事にしよう。

納得していなくても仕方ない。なんせ入り口にはクルナフが送迎隊付きで待っているからな。
ヤツ曰わく「歴史的瞬間に少しでも長く立ち会いたい」。パッキリ、監視役って云えばいいのに。
しかも送迎隊ってのがなかなかの精鋭揃いだったりするから、ボク1人で如何こうして
逃げようとした処で無駄なんだな、きっと。 尤も、





・・・・逃げる気なんてとっくに無くなっていたけど。





ボクの手はお守りに触れていた。











此処で 出逢えた



共に戦える 仲間と

共に生きれる  君と



巡り会えたんだ ─────希望に









・・・・あのアト。

ラダトーム城の玉座の間の裏の部屋にボクは通された。
一瞬、政務室かと思ったが直ぐにそれが間違いだと気付いた。

王宮なんか縁が無かったから其の部屋に対する感想(質素とか豪華とか)は思い付かなかった。
ただ、その部屋の主は長く此処を空けている事と年頃の女性だと云う事は解った。

そして、その人物には王のモノとは異なるが、特別な権力があるらしい事も。
部屋を見回している内にボクは其の部屋の主の代理と邂逅した。

王とその人物がどんな関係かって云うのは一目瞭然だった。
同じ血を引くもの同士である証拠がそれに、はっきりと描かれていた。



恐らく彼女がラルス]Y世の愛娘で、現在国内不在と噂されているローラ姫。



清涼感のある紫陽花色の髪、紫水晶の瞳、くすみ1つない白磁の肌、儚げな少女の笑み。

ボクは、居無くなった少女の肖像画にボクは釘付けになっていて、














そこから先の王の話しは全く頭に入らなかった。














・・・・ボクは・・・彼女の・・














「・・・いら〜ァしゃい。遅かったねぇ。」



ボク以外の、他人の声が洞窟内に反響した。









ありがとう



いっぱい ありがとう

たくさん たくさん ありがとう

勇者ロトに 栄光あれ!










石碑の前には、少女が居た。

多分、ボクよりは年下だろうな。背も低いし(プチ優越感)。
目差しが広いとんがり帽子と襟を立てたマントは漆黒の闇の色
大きく胸元(!)が開いた新緑色のサマードレス・・・と、まぁ
かなり際どい、且つ奇特な不思議な格好しているけど。‘たぶん’



「石碑を読みに来たンでしょ?自動か受動かは、又別としてぇ、
 ちなみに、あんたは『どっちの』子孫なのォ?」

「・・・さぁ?ボクは人に云われたから(仕方なく)来ただけだ・・・けど。
 アンタは、何?此処の番人とか? (・_・;)a」

「・・・ぅん〜、何となぁく来ただけなんだ。私もォ。暇人だしね〜。」



・・・・自分で云ってるし、変なヤツ。
いや、待て。今、何云ってた??



「あんたの・・・、紋章の『片割れ』でしょうォ?首から下がってるの。」

「知らない。ボクのモノか?、なんて考えた事も無かった。・・・っていうかコレ、
 ────半分なのか?ボクが持っているのは、何かの『片割れ』なのか!?」

「・・・私の知っている中では、ねぇ。“そぉだった”ってだけ。」

「・・・ ・・・」



























今までは 興味無かった事の方が 多かった。
























だから 変なカンジなんだ。 今のボクは とても オカシイ。
























コイツは 何を知っている。 ボクは 何を知らない?
























ボクは持っていた松明の灯りをずらした。
少女の顔が洞窟内に照らし出される。

ボクは其の顔に見覚えは無かった。









なのに ソイツはボクを見て微笑ったんだ。



























「・・・久しぶり、だねぇ」















































進まない・・・。先に進まない!!
遅々として進まない。終わるかどうか心配になってきた。

今更ですが。


04.08.14


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