私の名は ロト
私の血を引きし者よ
ラダトームから見える魔の島に渡るには
3つの物が必要だった
私はそれらを集め 魔の島に渡り『魔王』を倒した
そして今、その3つの物を3人の賢者に託す
彼らの子孫がそれらを守ってゆくだろう
再び 魔の島に『悪』が甦った時、
それらを集め戦うが良い
3人の賢者は この地の何処かで
そなたが来るのを待っているだろう
ゆけ!私の血を引きし者よ!
あえて、・・・・云わせてもらうならボクの『ご先祖サマ』とやらは、
相当に、限りなく、絶望的に、救いようのない・・・・「あふぉ(あほ)」だ。
自信家なのか、傲慢なだけかは解りかねないが、こんな『無敵な作文』を書けてしまう様な人物だ。
実はかなりの危険人物だったかもしれない。ここまでくると最早、Aクラスの犯罪に近い。
いや、犯罪者なんて言葉じゃ収まらない。なんだか分からないが、そんな気がしてきた。
段々、王が(我の事の様に)朗々と語っていた伝説の勇者の話の方が、ボクには嘘臭く思えてくる。
こォんな「人間失格」的な「人格破綻者」の代表に選ばれそうな破滅的な性格をしていたヤツだ・・・・
ただ者、である筈が無い。(二重否定)
「幸せェな事よ〜?きちょ〜ォな遺伝子と血統を受け継いでるっていうのはァ。
『生まれついての変態家系の末裔』の自覚くらいは・・・あるンでしょォ??実際。」
唐突に、なにか様々なモノが、ボクの中で去来した。
・・・・今の心境を語るなら、
据え膳で戴ける宝箱に、檜の棒を500,000,000,000Gで売りつけられた時の気分に似ている。
っ、まぁ・・・・、要するに、云いたい事は・・・・、
「────あ、あ、あッてたまるかそんな事!! 三( ̄■ ̄)」
「・・・なンか、動揺してなァい??」
・・・・ボクは、否定も肯定も為無かった。
□
ボクには、一種の持病がある。
どういう事が原因か、分からない。何が要因になっているかさえ、知らない。
ただ、ボクの人生に於いて、この病が切っても切り離せない状況である事に変わりは無かった。
ボクには、カコの記憶が無い。
しかし、それは病や事故の後遺症などのモノで無い。
何となくだけど。明確な理由は無いけど、先天的なモノのような気がする。
ボクの病は、同じ記憶を長期間維持する事が出来ない事────。
一日二日の記憶なら覚えていられても、二年三年も前となると
すんごい事にボクの脳は「覚えている」どころか、「思い出す」事も出来無くなる。
曖昧ささえ残らずに初期化されてしまった様に、ボクからは何もかも無くなってしまうのだ。
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ボクは、お守りを握りしめた。
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気休めでも、無いよりまし。それだけの存在を。
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ボクより小さな背中が前にある。現在、ソレに腕を引かれた状態だ。
アトで手首に痣でも出来てんじゃないか?そんな力が何処から出てくんのか。
何から何まで、ボクには理解出来ない。コイツは一体、何者なんだ。
「・・・アンタは、ボクの何を知っているんだ?」
「ロトが残した石碑」の前に居た少女を引っ張ってクルナフの処に、ボクが帰り着いたのは、先刻。
ボクが、ヤツに勧められるままにラダトーム城まで帰る事にしたのは、そのすぐ後。
半日も離れてないのに、来たのは今日が恐らく初めてだというのに、なんだか落ち着かない。
だけど、どこか懐かしいような感情がボクの中で沸き上がって・・・・いたのは、今サッキまで。
ただ今のボクは地面の下にいる状態だったりする。
憎たらしい苔の洞窟から出て小1時間足らずで、ボクはラダトーム城に帰り着いた。
出来るなら、暫く此処には立ち寄りたくなかった。が、紆余曲折(裏事情?)あって、
又、城門を潜ることになった。その時ボクは──────、
なんだか煩わしいなぁ、と考えていて。跳ね橋が降り鉄柵がゆるりと取り外されて。
促されるままに城門を潜ろうとしていた処を、
・・・・・がッ!!、
「ごめェン!ちょっとだけ、コレ借りるね〜。」
ボクは、無利益、無承諾、無期限で貸し出されてしまった。
ここで「誰の承諾だ?」と突っ込んだ者は、目でピーナッツを噛め。(命令形)
城門を軽〜くスルーして。
精鋭部隊が、身動きも瞬きも出来ないまま庭園の一部と化し。
王宮薬師クルナフの悲鳴めいた声とオーバーリアクションが炸裂して、
嗚呼きっと、端から傍観していれば、滑稽この上ないものだったんだろうな。
守備兵やらなんやらの視線をものともしない少女の
見た目を余裕で裏切られお釣りが来るハイパワーで、ボクは。
────ラダトームの地底城に入城させられていた。
地底城より、殆ど「地下の一室」と云って良いな。
かび臭い階段を数段下りて、蝶番が軋んだ観音扉を開けた先は、
地上の城のそれと比べるには、最早土俵違いも良いぐらい貧相な造りだった。
まだ食料用の豚の方が良いところに住んでるよ。清貧なんてお世辞にもならない。
広さなんてさっきまで居た洞窟より狭く、均一な石壁なんてイマにも迫って来そうな恐怖さえよぎる。
そんな中で、空気だけは澄んでいる気がしたのは、・・・・多分、ボクの思考がキレてるからだ。
「、いい加減にしろッ!もう暗いのは、うんざりだ!」
「・・・ ・・・、ネクラの癖にィ?」
「・・・・・・ッ!!!」
カチンというより、「どッきゃんぎゃん」だった。(なんだそれは)
けど、自分より年下の、それも女の子に手をあげなかった事に対して。
・・・・ボクの、理性に三・三・七拍子!! (≧▼≦)y+
一瞬、肩を戦慄かせたボクに怯えたのか、少女は躯を竦ませていた。
けれども、ボクにその気が無いのが分かった途端、幼く見える笑顔を見せる。
・・・・なんか、悔しい。勿体無いことしたな。・・・・後悔。
「・・・殴りかかって来るかッて、思ったァ〜」
「感謝しろ。大いに。盛大に。」
「そォしておくよ。これでも非道い目にはァ、遭ったことあるからね〜。」
そんだったら、一回で懲りておけ。
ボクが心中で毒づいているのを知ってか知らずか(多分後者)、
少女は黙々と何かを探す為うろうろし始めた。何でか知らんがそれは、地面にあるらしい。
「落ちてた物は自分の物」と云ったのは誰だったかな。・・・・ってか、ボクか?
やがて目的物を発見した少女が戻って来る。かなりいい加減なカンジがする。・・・頭が重たい。
しかも、両手で包み込む様に大切に持ってくるその姿に・・・・どうしよう、眩暈が襲ってきたよぅ。
直感で分かった。・・・・絶ッ対に、金目の物じゃない!賭けたっていい。
その上それをボクの前に差し出すんだ。資産的価値は皆無に等しい。
少女の絡み合った指先がほどけて、それが姿を現す。
それは、何の変哲もない。指で円をつくったくらいの石ころだった。
予想以上の展開に半ば自棄になってくるよ。ホント。
ここでお決まりの台詞なんて出てきたりしたら、砂を吐いて死ぬぞ。ボクは!
「────はいッ。これがァ、アンタに授ける物よ〜。」
「ザザアぁぁぁぁ──────ッ (_ _)〜*」
「うっわァ!!なンよ、それは〜!?」
「・・・いや。タダ働き、無駄仕事に拒絶反応が極限に達しただけ。」
そう、ショック死するぐらいに。
仕方なくボクは、押し付けられるままにそれを手の平に乗せた。
小突いても転がしても石ころは、同じカオだった。
鉱石に見えなくもないけど、石であることに果てしなく変わりはなかった。
・・・・一体コレが、
「・・・なんだっていうんだッ!!」
「『太陽の石』って云ってねェ。アンタのご先祖サマ達が持ってたのォ〜!
石碑に書いてあったしょ〜?「必要な物があった」って。覚えてンでしよォ?」
「なんとなく。ってか割れてない、コレ。」
「・・・割った────のよ。昔にね。」
『割った』のか?わざわざ。
なんだか、とぉぉぉッても、イヤな予感がする。
どうする。やっぱりここは、あのコマンドを使うか?
「ボクの先祖ってどんなヤツらだった?」
>使ってみた。(☆)
・・・・一瞬、石化しなかったか?コイツ。
少女は眉根を寄せた、やッたら難しい表情のまま固まっていた。かちんこちんに。
なにか思う処があるらしく額にうっすらと汗をかいている。あの汗は、冷や汗なのか?
どうする。秘密のコマンドを発動させるか?
「一組(ひとくみ)は、相方が───ロクデナシ。」
「もう一組は、両方とも───ヒトデナシ。」
「・・・」
>出鼻を挫かれる。 (゜口 ゜)
徐に、開いた口からは、どうしようもない答えが出てきた。
藪をつついて間欠泉にぶち当たったのが、はたして真実かどうなのか。
出来ることなら。どっちかと云うと。御願いだから。
違っていてくれ、と望むさ、ボクは。
当ッ然、だろ。
ボクの片割れ。カコの断片。
覚えのない欲求が、ボクの中に溢れる。
ま、ボクの場合、元々覚えている事が少ないけど。
またまたボクは、後悔していた。
何に?とは、今更聞かないでくれ。
原因ぐらい解っているんだろう!?(脅迫)
地底城を出て真っ先に出迎えたクルナフの顔を見てだよ。
さっさと逃げてとけば良かった〜(泣)、って。
少女と共に城に引きずり込まれながら。かつてない位に。
おもォ〜〜〜いきしッ、後悔していた。
ああ、せめてこの記憶だけは無くならないでくれよ。(;_;)ボクの頭。
ボクは再びラダトーム城に迎えられた。
勇者ロトの子孫として。
伝説の勇者ロトの子孫として。
アレスみたいな病が本当にあるかは知りません。
ただ、既にある病名を使いたくなくて、個人で勝手にこさえたツモリです。
記憶喪失にしなかったのは、全部が全部忘れている訳ではない。と云いたいだけです。
っていうか、一番嫌いな展開だしね。アレスには似合わないし。
あ!!彼女名乗り忘れてる。・・・・まぁ、良いか次の機会で。
04.09.08
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