あれから〜、ボクこと・・・・アレス君が。
ラダトーム城において、ロトの子孫だと結論づけられてから、
ボクがどうなっていちゃったかと言いますと・・・ってか、言わせて頂きますと〜。
ズルズルと玉座の間に連行されて、王族的に自己(満足)完結された話に付き合ちゃった挙句、
「お宅の娘さんは、ボクが無事に助けてきます」と、無理やりに(思いっきり棒読みの)宣誓させられて。
真っ当な武器防具をとても揃えられるとは到底思えない金額を与えられたキリで。
全開ロイヤルスマイルに見送られ、町の人たちの超〜ッ傍観視線の晒し者になってから。
・・・・唐突に、野におっ放されました。
□
道々歩きながら、つい先刻のことなら思い出せるんだな〜と、関心して。
腑に落ちない気持ち(憤り90%)を抱えたまま、ボクは再び旅の空の下にいた。
勿論、隣に例のアイツが居るのは、報告する必要が無いと判断したので省くとして。
「ってか、普通は在り得ない話だと思えないもんだろか?」
「……何に対してェ〜??」
「ボクが勇者ロトの子孫って事!」
「自分がァ??信じられない〜ッ!!て、感じィ??」
――――・・・・信じられるか? 信じられないか??
そんな事じゃない。大体ボクの場合、それ以前の問題だ。
そうじゃなくて、・・・・そう、ボク自身じゃなくて。全体的に、だ。
「勇者ロトってのは、もう死んでいるんだろ!?
500年の間に何があったかなんて、誰ぇもわかんないし!」
「…………そうだね。」
「別にボクはどうだって良いんだけど。
本物さんがもし居たらそんないい加減な事、許せないだろ!?」
結局の所。王様としては、愛娘さえ助けてくれれば誰だって良いだろけどさ。
関係者っていうか・・・・ソレの血縁者が「まだしぶとく生き残ってた!」としたら、
なんかの切欠でそれに気付いたりなんかして、またミーハーさんから聞いたりなんかして、
ボクの所に突撃かました上に命を狙っちゃたりしちゃってたりなんかしちゃってたらさ・・・・。(早口で)
そん時になったらボクは・・・・、適当に云い逃げしても良いよな!? (・▽・)!
―――そうだよ!
ソイツに「ボクが偽者です」なんて云う必要も義務も無い訳だし。現状においては、さ。
(王族に)利用されてる!!って事をそこはかとなくPRして責任逃れしたって、
全然構わないって云うか、それこそオッケーだし!万事抜かりなし、だし。
ちょぉ―――ッと、涙腺を緩めてキラキラと目に☆を浮かべて・・・・、
年上のお姉さんだったら少しだけ縋り付いて(男は即★抹殺)何なら抱きしめられたまま(受身)、
「お城の人たちが、勝手にそう言触らしてただけなんですぅ〜〜ッ。 (T△T);」
「―――――…突然。なンつう事、云い出しちゃってる訳ェ??」
「ただ今、言い逃れ専用コマンドの実行パターンを研究中なんですよ。」
備えなければ取り敢えずハッタリをかましとけ!、って、心の声が叫んでるからさ。
□
暫く、何の考えもなしに。ってか、無意識に??
先へ先へと歩を進めていたボクな訳だったけど。
遂に、と云うより漸く??
肝心の事に気付いた。
珍しく、思い出したんだけど。
「ボク、何処に向かえばいいの?? 煤i゜゜;)」
「やァ〜っと、ですか」
「―――…アンタ、何者? 煤i(゜゜;)))」
「その質問も、非ぉ〜〜ゥ常に今更なんですけれどォ」
「なんだ!最初から聞いてなかったのか!!」
なんだ。ビックリした。
なんだ、なんだ、な〜んだ!!(納得)
・・・・そりゃ、分からない訳だ。当然だ!
「猛ッ烈にィ、納得してるとこ悪いンだけど〜。
まぁ、私も気になってたからァ、サクサクぅ〜ッと云っちゃうねェ。」
「そうしてくれない? …んで、」
どぞう? と、ボクはその先を促す。
「名前は、レミシェーラスザール。ちなみにィ、これは本名だから〜。」
「長い、忘れる、覚えにくい…、面倒だからシェーラでよい?」
「―――――――――……いいよ」
いや、マジで。
これ以上、ボクに神経を使わせるなよ。
一生懸命何かをやればやるほど、心なしか今さっきまで覚えてた事でさえ
バキバキ忘れていく気がするからな。・・・・都合が良いんだか悪いんだか。フッ。
それに、云い辛そうだし。―――その名前。
・・・・ん? なんなのさ、
何か、意味ありげな視線を隣から観測。
「…………なにさ、」
「いやァ、色々とォ〜。面白いな〜って、ねェ? ……そうそぅ!
職種は魔法ぅ使いだから〜、適度にィ身代わりになって攻撃喰らってねェ〜。」
「このやろ〜。ボクに、死ねと!? (=□=+)」
「う〜ぅン、にャ(否定)。適度に庇えってェ事よ〜。」
それは、「何だったら見捨てても文句は言わない」って事だな??
変更しないぞ。そう認識したからな・・・・、覚えておけよ? ボクの頭。
ボク自身で、得する事だから。
□
道とは到底思いたくもない場所を、テトテト歩かされて。
ハエかゴキブリ並みに湧いてくるモンスターを蹴散らしまくって、やっとこさ。
ボクは、漸く。町らしい? 町だと信じたい?? 町っぽそうな所に着いた。
シェーラから聞くところによると、古くから鉱物の産地で、
山奥に在るにも拘らず鍛冶屋と商人の交流が深く、最盛期ほどでは無いものの
人の往来は、他のアレフガルドの町の何処よりも多いとか。(まる引用)
煙が燻り景色は、やや灰色がかって見える。不本意だけど・・・・。
此処では特異体質とも云えるボクの色は、均等化されて目立たなくなる様だ。
――――・・・・その町は、マイラと言うらしい。
「そ―いやさ。その格好の方は、なんとかなんない?」
いい加減、他人事に無頓着なボクでも気になってしょうがない。
あんまり旅をするのに服装(ふぁっしょん…ってヤツ?)を意識するのは、
かなり・・・・いや、ボクの性分から云っても柄じゃないのは自覚してるけどさぁ?
一番の理由をボクから言わせて貰えば、至極、明白なんだけど。
・・・・痛いんだよ。
マイラの住人の、なんだか物言いたげな視線が、さっきから。
1.その胸元がグワ開きの見る者を誘う新緑色のサマードレスとか、
2.顔色が伺えない程に目深く被った同色の胡散臭さがキツイとんがり帽子とか、
3.戦闘でいまいち役立っていなかった魔物の腕に似せた様なデザインの悪趣味な杖とか、
4.「イマドキそんな職種に似合った格好してる人いない」って、ぐらい魔法使い度400%の見た目とか、
懸命な思いを露骨に顕にして、皆さん、目で訴えてるんです。
「『お前、場違いな格好してるんじゃねぇ―→よ。』 (―W―)」
「何ッ!!? この目ーザー光線はァ、私宛だった訳ェ〜〜ッ!!!?」
「「「―――当ッたり前だ!!!」」」
そのトキ。ボクとマイラの住人による夢のコラボレーションが現実のものになった。
「生まれて初めて、キレイでは言い尽くせない程の、ステキな突っ込みであった」と、
マイラ名物の露天温泉に浸かる老人(御年76歳)の語り方は、鼻息が唸るほどのもので。
老人は恐らく、この伝説を語るべき役目は自分に託されたと思っていたに違いない。
数分後に湯辺りで医者に搬送されたトキの、老人の顔を見て・・・・ボクは勝手に老人の人生を捏造していた。
□
どうにか宥めすかしてシェーラを近くの被服店に押し込んで。
店員さんに「『良くお似合いです』と澱みなく言えるまで出すな」と言いつけて。
ボクが半世紀ほどの溜息を吐いたのは、例のコラボから30分経ってからの事だった。
ちなみに、イマ。ボクは老人がぶっ倒れた温泉に浸かろうとしている訳なのだが、
どうにも気になってしょうがない物がボクの視界に入っている為、現実動けないでいる。
・・・・そう。
見えてるんだよな。地面からひょっこり、と。
凄まじく無用の長物と云って不足ないほどあからさまに、モノが!!
目の前には湯煙ドッキリ!セクシャルハラハラな温泉があるっていうのに、
よりによってなんでこのトキに、見ちゃったんだろな・・・・。
あんな怪しいモノ。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいか。」
逡巡すること幾数分。
ボクは身を屈めて、ソレを拾う事にした。
案の定、それは薄汚れた何の変哲もない陶器の笛・・・・だった。
ボクは取り敢えず、
思いつく限りの邪悪そうに下品な声を立てて、笑ってから
何食わぬ顔に作り直し、温泉に向かって再び歩み始めた。
勿論、
視界にシェーラが入っているのを確認してからやってたってのは、
云わなくても良い事だと思うけど??
アレス…、お前ってヤツは。
やっと少女の名前を出せました! 長いお名前で、すいません。
そして単純ともいえる呼び方で、すいません。
アレスが拾ったモノが何かは・・・・、言わなくても分かりますよね。
05.01.28
ブラウザを閉じてお戻り下さい。