ただ、好きです。


ただ、貴方が 好きです。



愛 とか 恋 ではなくて、

ただ ただ 貴方が 好きです。




それだけ です。











『地上編』






この際だ。いい加減、素直に白状してしまえ。



「得意呪文はァ、ギラ系とイオ系で〜。ホイミ系は、ちょ〜ッとばっかし苦手ェです。」

「そんで? あと何かボクに言い残した事は? もう無い? シェーラ?」



そう。「言い残した事が有った〜!」なんて言い訳が出来ないよう。
ボクは、入り口も出口もバリケードを張っておく。徹底的に。隙間無く。
いっその事。執拗とさえ云えるぐらい。そうじゃないと気がすまない。

・・・・ってか。そうするし、してやってるし。(実行中)


ボクの目から。シェーラの銅褐色の瞳が、クルクルと動き回るのが見える。
きっと、あの。入ってるんだか、いないんだか、分からない脳みそをかき混ぜてるんだろう。
いっくら、取り繕う言葉を練った所で。出来上がりそうもないんだが…。まぁ、待っていてやろう。































「―――――・・・・イキテ、カエッテコイ?(棒読み)」





























まァ・・・、ある種。期待通り―――、に。ちょっと血管が2、3本切れたカンジか?
ということで。ボクは貴様の期待に賞賛の意を込めて。































「ぶち殺してやろうか? マジで。 (^^#)」





























死刑宣言をしてやる。

・・・・大人しく、死んでくれ。(決定事項)




























ぐうがががああぁぁぁぁぁぁぁっつ!!!(以下、エコー)





























いや。今は死ななくても良い。
っていうか、ぶち殺さないでおいてやる。代わりに。
ボクがヤバくなったら、ボクの代わりにアレに殺されてくれ。

骨は、記念に拾っておいてやるから。










(前触れもなく)シェーラの向かい合わされた手の中に、白光が現われた。
ヤツの不恰好な長い耳たぶから下がっているタリスマンも、それに反応して点滅し始める。



「『約束せよ。』『我らの前に立ち上がれ、』『幾重の守備りを!』」

「・・・・なんだ、その果てしなく文字並びが支離滅裂な『呪文』は。」

「スクルトっぽいの〜。『呪文』はオリジナルで作って、みましたァ。(過去完了)」



そりゃ、凄いな良かったな。

効果が無かったら…なんて考えてみただけでゾッとする。
そんな「ゴメンねv」オチで逃れないように―――、今の内に睨んでおこう。


ボクは徐に鞘から剣を抜き、振り具合を確かめた。
はっきり言わせて貰えば。今回が、ボクにとっての始めての屋内(?)戦となる。
ちなみに、忘れた分は数えないでおいとく。キリが無いからな、そんな事考えていたら。フッ。

ボクが使っている湾曲刀は、狭い空間で振り回しても障りがない様な位のモノだから。
多分、問題は無いと思うが。念には念を・・・・と云った意味で、型振りをしてみる事とした。

結果、カンジは上々・・・・といったトコロか。
どうやら両腕を伸ばしても洞窟の壁に剣先が引っかからない。
喉の奥から、クックッと笑いが込み上げてくる。この勝負は貰ったぜ。



「なんつぅか〜、そォゆ〜笑い方すると、悪人っぽく見えるねェ?」

「ボクを褒め讃えて絶賛しているのか? それは。」

「――――・・・どォすれば、そ〜聞こえるのかねェ??」



それは、ボクの形の良い耳にそう入って。
ボクの逞しく強かな脳みそが、そう判断したからに決まっている。










準備は整った。

ボクの華々しい決戦の舞台への裏工作は、
全て相成ったと、豪語しても誰にも憚らない。やったね!

大して深くも無い洞窟の様子から察するに。
竜王の配下=敵の居所は、ボクの居る所から、さして遠くない。
・・・・さっきからひっきりなしに、背中から寒くなる雄叫びが聞こえてる・・・・し・・・?



「ちょっと、待て!」

「ン? 何〜??」




今、すんごい重要な事に気が付いた。
しかも、ここまでくる過程の間、すっかり忘れてた。



「アレが、本当に『竜王の配下である』保障はあるのか?」

「…それはァ。斃してみれば〜、分かるンじゃなァい?」



ふふ〜ん…。(疑惑の目) そうくるか。
そんじゃ〜ァ。 質問を変えて聞いてやろうか?



「『ココに囚われのお姫様が居る』保障はあるのか?」

「………………………斃してみれば〜、分かるンじゃなァい??」





ホ〜?














ホホ〜?














ホホっホ〜?


















「絶ッ対、帰る!」



「それは〜〜、無駄じゃなァ――――」





ぐうがががああぁぁぁぁぁぁぁっつ!!!(大反響)
















これが世に言う、デ・ジャ・ビュというヤツなのか。
こんな展開でシェーラの言葉が途切れたのは、初めてではない。

そうあれは、確か前回こと『ソノ トキ ボク ヲ 射貫いた 眸 (前編)』で。
うん! 凄いな。ボクがこんな事まで覚えてる・・・っていうか思い出せた。

そんでもって、ついでに。
ボクの繊細で且つ、虚弱で、ちょっぴり怠惰な鼓膜が。
どこかで聞き覚えの有りまくる声に反応して、悲鳴を上げている。


しかも、目と鼻の先っぽい方角から、ビシビシと存在感が。


はっきり云って裸足で逃げ出したい気持ちに、ボクは取り敢えず鍵を掛けて―――。

何時の間にやら天井が高くなっていた洞窟の。
なにやらかの息遣いを感じられる付近が見える様に、松明の火を傾け。
その天辺に張り付いている様な高さにある、爬虫類らしい目玉が灯に反射してるのを。




























バッチリ、確認した。 ヽ(´∇`)ノ




























頭の中が、真っ白になった。(脳内総削除)


そうか、ボクは。
『歩を止める』のも忘れていたんだな。(現状確認)
だから、こんなに早く…ヤツに会う事になった訳か。(理解納得)

今度から人と話をしているトキは、足を動かさないようにしないとな・・・・。うはは・・・。(現実逃避)



「うわァ〜! おっきなドラゴンだねェ、アレス〜。」



――― いや、全くだ。
こんなにデッカイなんて聞いてない。
ちょっとした、一戸建てくらいあるんじゃないか? コイツ。

まぁ…、兎にも角にも。

剣は抜いておこうか。抜刀しないと使えないしな。
魔法は、シェーラに任すとして。なんだ? あとやる事と言えば。



「ンじゃ! 約束通りに〜。前線はァ、アンタに任せるからァ。
 攻撃もなるべくだったらァ、そっちで喰らっておいてねェ〜! 私、体力が貧弱だッから〜。」



そういや、そんな話もあったな。
・・・・って、そんなに後ろに下がるのか。オイ。
そんなに後ろに居たら、攻撃が届かないんじゃないか?
しかも、ちゃっかり大岩の後ろに隠れて。・・・・ボクからも見えないじゃないか?


楽しそうに、手を振ってやがるし。(怒り心頭)


攻撃も緩和しろって・・・簡単に云ってくれたけど?
あんな。「こんちきしょッ―――!」な位に、太い腕やら尾やらで攻撃されたら。
ボクの軟弱な骨なんて・・・。2度と再起不能になるんじゃないか? オイ。

しかも、あのドラゴン。なんだか、ステータスが混乱の状態じゃないか?
洞窟の壁とか地面とかを、バシどかバシどか叩き壊しているんだけど、さ?
あれが、「バーサク罹ってる」っていうヤツだろな〜。とち狂っている、っていうの??

そういうヤツってさ。多少の痛みとか怪我とか感じない、トッリプ感覚になってるんだっけか!?



「・・・・・・・・・・」



ボクは、もう一度。
ドラゴンと向き合ってみる。


全長は10メートル前後ってところか。
そんなに広くない洞窟だと思ってたけど、意外と入るんだな。

全身を余すことなく立派な鱗が覆いつくしてる、深緑色の表皮。
あれって、聞く所に物理攻撃どころか火炎系の攻撃にも対応してるんだっけか?
いや〜! あっぱれあっぱれ。そうやって自分の身一つで守っていくんだな、動物って。

あの「大きいな〜!」なんて言葉じゃ言い尽くせない口からは、火も吐くんだろ?
鋼鉄さえ砕く牙だってあるんだよな。・・・・爬虫類だし。

基本ステータスは、「バーサク」。
今のヤツに、一寸やそっとの攻撃は意味が無い。
ってか、暴れてる所の近くに寄ったら、ボクの方が危ないんじゃないか?


丸太みたいな太ッい足は、先ほどから地団太を踏んで。
憐れ洞窟内の地面! ひび割れカチ割れ地割れの大溝が、クッキリと見える。

まさか、マグマなんて出てきやしないだろうな???(不安爆発)



「そンじゃ〜! 頑張ってねェ〜!!」



シェーラから、恨めしい位の後方声援を受けて。
一般装備で突っ込むぞ! スクルト一つで! 盾なんて持ってねェよ!
味方は、めさくさ後ろで。ボクを盾にする気満々だ! 敵は兎に角、強そうだ!手強そうだ・・・。
さあ! いざかん!!ドラゴン退治!!!(半ば自暴自棄)



―――――・・・・ってェ。



ボクは剣を振り上げ、ドラゴンに真っ直ぐ切り込んで行くが、
その途中で、顔から手を付く間もなくゴチリと―――――、コケた。

いや、すまん。シェーラ。
だけど、一言だけ言わせろ。ボクの口から。
































「倒せるかッ! ボケえェっ!! ((`д´;))))」
































「そして、アレが「竜王の配下である」という証拠と保障も寄越せ!
 このままじゃ、アレを軌跡的に倒せても、無駄骨の可能性もあるぞ!!

 どうなんだ! オイ、コラ! シェーラ!! ボクの云ってる事に何か変な所があるか!!?」



シェーラは明後日の方角へ、その目線を流した。








・・・・終わんなかった。
惜しい! もう少しだぞ、アレス! 後編を待て(笑)



05.05.16


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