少年が人知れずに【故郷の大地】を旅立った頃
少女は、未だ【希望の大地】で彷徨い歩いていた。
「勇者」として。【故郷の大地】を救った彼が
【希望の大地】に降り立ち
彼女との邂逅を果たした時・・・・。 彼らは、真の「勇者」となる。
【全ての始まり】 かつて、過去に。世界を巻き込んだ激しい大戦があった。 11年続いた大戦は各地に大きな傷跡を刻みつけたが、それはアリアハン統治後の平和の中で薄れていった。 それから更に10年程過ぎたある日。戦乱による繁栄を許した世界に突如として魔王とその眷属達が現われて、 かの日以来の、形ばかりの平和は消え失せたのだった。世界は望まぬ混乱と、閉塞の輪を紡ぎ始めた。 数多の英雄達が目覚めては大地の棺に眠る10年を経て後に、元統治国アリアハンより英雄オルテガの息子が 「打倒バラモス」を宿願と宿命に持って出征する。それから作られた彼の華々しい戦歴は、人々に光差す希望と 安らかな夢を与えて、何時しか人々は、彼を真実に 勇者 と認めていき、認めさせていったのだった。 その勇者の旅は、「バラモス打倒」の宿願を果たしたことで、僅か1年で終焉を迎える。 そうして、世界には平和が戻った。帰途する筈の勇者達の姿が無いままに。・・・・。 かつて、過去に。争いを厭い、ただ平穏を求めた人々がいた。 終わらぬ戦禍を厭った人々は、「アレフガルド」の地に落延びる事で一時の平穏を得た。 しかし、ラダトーム歴35年、ラダトーム国王ラルスII世の御代―――その平穏は、大魔王ゾーマの前に 恐怖による統治を目論む深い欲望の前に、呆気なく瓦解して、人々は己が種族の存亡の危機に直面した。 希望の大地に、平和への渇望と希求が募るも、叶わず果てていった中で、少女は出征した。 彼女には、神の祝福も精霊の加護も無かったが、絶対的な信念を、その小さな胸に抱いていた。 気丈に振舞う華奢な彼女の姿に。人々は、敢えて忘れようとしていた伝説をそこに見る。 少女の名前は、グレイス。まだ此の時、彼女は元部下と2人きりだった。 それから、2年後の或る日―――、アレフガルドに光の勇者が訪れる。
|